2015-01-01から1年間の記事一覧

天下茶屋日記21

彼女の体を心配し、病院に連れて行くことにした。最初Tは嫌がっていたが、しぶしぶ了解してくれた。結果はストレスによる、扁桃腺の腫れとホルモンバランスが不安定との事で、僕は仕事を辞めたと提案し、当分は家でゆっくりと過ごすことを勧めた。それからT…

天下茶屋日記20

Tは相変わらずムサコの下着屋で働いていた。しかし、夏の終わりに近づくにつれて体調がすぐれなくなってしまう。僕は心配になり、病院に行くようすすめたが、Tは嫌がって行こうとしなかった。しかしあまりにもしんどそうな彼女を見るのが辛くなり、強引に連…

天下茶屋日記19

昼間に起きて、図書館の冷房で涼み夕方にTを迎えにムサコに向かう日々は日常の幸せを感じさせてくれたが、憲法で決まっている労働の義務を果たさなければならない。僕は、自由が丘駅近辺のアパレルでバイトを始めた。その店は、まず、自分でその店の服を買い…

天下茶屋日記18

Tは下着屋での仕事量が多い事に文句が多くなり、僕は良く愚痴を聞くことになった。一度レジの誤差を、働いているバイトが補填するかどうかで揉めたようで、Tはその場ではスタッフみんなが了承したので、払ったようだが、後で仲のいいスタッフと会社の上の人…

天下茶屋日記17

ハイサワーは青リンゴがお気に入りだった。ハイサワーの本社は目黒にあるらしく、親しみを感じた。あのメロンソーダ色の液体をキンミヤ焼酎で割ると、シティボーイ御用達のハイサワーになる。又あのロゴのフォントもよかった。あのビンを求めて僕らは酒屋を…

天下茶屋日記16

武蔵小山で何度も足を運んだ焼き鳥屋があった。「牛太郎」と言うお店だ。そこは地元の人が昼間から集うような、古くからある下町の焼き鳥屋さんだった。家族でやっているらしく、焼き場は息子さんが仕切り、父親がサポート的な感じで、母親が裏で雑務をこな…

天下茶屋日記15

彼女Tさんは夏になると下着屋の仕事が自由が丘から、武蔵小山のパルムという商店街に異動することになる。Tは通勤が遠くなることが不満みたいで、文句を言っていたが仕方なく了承したようだった。小売の下着屋の仕事は、検品、品出し、発注と話しに聞くと簡…

天下茶屋日記14

東京にきて初めての夏は猛暑で、僕は夏バテになるのも時間の問題と感じていた。特に住んでいるマンションが日当たりが良く、クーラーの効きも悪くて参った。近くの公園によく涼みに散歩していた。すこし遠いが多摩川まで歩いたこともあったが、すごい坂を下…

天下茶屋日記13

東京の奥沢は、閑静な住宅街で歩いて自由が丘に行くことができ、生活するには適していたが、物価は高いと感じていた。僕らはいつもスーパー青葉に7時以降に出かけ刺身の半額を買い、晩酌するのが楽しみだった。僕も彼女も魚が好きだったからだ。自由が丘はス…

天下茶屋日記12

印刷会社の仕事は給料は良かったのだが、拘束時間が長く彼女との時間 物書きの時間がなく彼女に辞めると告げると、 うれしそうに「そう」と答えた。彼女も仕事しながらご飯やお弁当をつくるのが 大変みたいだった。 僕自身も朝6時に起きて帰ってきたら10時…

天下茶屋日記11

印刷会社の業務は単純なものだった。 印刷する際、版画の様に印刷するので版を作るのだが、お客さんからもらったデータをPCから版に焼くと言う作業だった。 単純なのだが一日に膨大な量をこなさなければならず、また機械はアナログなため鉄版 のセッティング…

天下茶屋日記10

帰宅して彼女のTに報告すると、喜んでくれて、お弁当作ること言ってくれた。僕は、仕事が決まって安堵したと同時に、構成作家の仕事に遠ざかったとすこしアンニュイな気分だった。けど日常は待った無しでやってくる僕は6時起きで、北千住に8時に間に合うよう…

天下茶屋日記⑨

僕は印刷会社の面接に北千住に向かった。仕事に応募したものの北千住がどこにあるかも知らなかったので、奥沢から自由が丘まで大井町線ででて、東横線にのりかえ、中目黒までの行き、日比谷線に乗り換え、北千住まで1時間ぐらい乗っていった。電車に乗るのは…

天下茶屋日記⑧

僕は仕事を探し始める。Tはあまりその事には関心がなかった。僕が何の仕事をしようがいくらの給料かとか、は二の次で一緒にいれる時間ができて嬉しそうだった。僕は心配性だが、楽観的といった矛盾する性格なのでその状況に焦りつつ、なんとかなるとも感じて…

天下茶屋日記⑦

そしてTが仕事になれてきて僕もやっと落ち着いて活動していけると思った矢先、リサーチ会社の仕事が途切れてしまう。小さな会社なので、操業する経費も馬鹿にならないので規模を小さくするとのことで、残って活動してもいいが、サラリーは出ないらしい。最初…

天下茶屋日記⑥

僕の彼女Tさんがある日、仕事終わりに下着屋で働くD子さんと飲みに行くから一緒にと誘われる。僕はTが東京で、友達ができた事にも嬉しかったし、飲みに行くという事もいいなと思って、即答で行くと返した。D子さんと初めましてして、D子さんの話をきいていた…

天下茶屋日記⑤

彼女Tさんは、僕から仕事してくれないと生活が回らないと言う話を理解してくれ仕事を探し始める。最初、自由が丘の駅前のマダムをターゲットにした靴屋でTは働きだすが、1週間も立たずにやめてしまう。理由を聞くと、「可愛い靴がない」だった。そしてすぐに…

天下茶屋日記④

彼女は年下の気の強いが、打たれ弱く、わがままな優しい女の子であるが、無鉄砲で向こう見ず、他人の意見をききいれない。意見されると逆効果な天邪鬼なきらいのある節がある。僕は自分のことで精一杯、彼女のペースに合わせないようにつとめたが先ほどのべ…

天下茶屋日記③

人の好みや感覚、おもしろい、喜怒哀楽のポイント、欲求、価値基準 娯楽はそこに訴求してお金を得るヤクザな商売と思う。 自分は作家志望で吉本の学校でコントや漫才のネタを毎日 書き続けていたが、お笑いの凝り固まっている淀んだ状態の今が好きではなく …

天下茶屋日記②

僕は構成作家になりたい気持ちがあったので、上司がある枠の企画会議に 参加してこいと言う命令がでて、僕は浮き足だっていた。東京に来て最初のチャンス でもあり枠と言うのが編成いわく、新しい事を挑戦したいという若手にも門戸 が開かれた枠だったからだ…

天下茶屋日記①

自分のしたい仕事のために、兵庫から東京に引っ越したのが3年前。 その頃の僕は東京に、ちょくちょく遊びに行ってたこともあり、住むなら東横線 沿線で部屋を探し始めた。 いろいろな物件を見たあと、世田谷の奥沢のマンションに引っ越しを決めた。 住んで…