天下茶屋日記11

印刷会社の業務は単純なものだった。

印刷する際、版画の様に印刷するので版を作るのだが、お客さんからもらったデータをPCから版に焼くと言う作業だった。

単純なのだが一日に膨大な量をこなさなければならず、また機械はアナログなため鉄版

のセッティングを行うのが大変だった。鉄版はかなり重く枚数が50枚単位でしか入らずその都度、入れ替える作業があり、体にきた。

またデータを手動で一回一回版のサイズ、調整、向き等確認しながらなので

ペースをつかむまでは大変だった。

1週間程して仕事もなれてきたのだが、同じ部署の人で、少し変わった言動で、周りの

人からも、あまりあの人に関わらない様に

と暗黙のルール的なものがある事を知る。僕自身はその人にあまり教えてもらわなかっ

たが同じ時期に入った人はその人に教えてもらっている時に辞めてしまった。

一度一緒に仕事になった時ぼくが「はい」という回答をしたとき

「はいじゃない、はいわかりましただろ」ということを言われたことがあって

それ以来、僕から話す事もないし、あまり仕事も被らなくなり安心した。

印刷会社では同年代がおらずあまり話のあう人はいなかった。

彼女のTが作ってくれる弁当が唯一の楽しみだった。