天下茶屋日記②

僕は構成作家になりたい気持ちがあったので、上司がある枠の企画会議に

参加してこいと言う命令がでて、僕は浮き足だっていた。東京に来て最初のチャンス

でもあり枠と言うのが編成いわく、新しい事を挑戦したいという若手にも門戸

が開かれた枠だったからだ。僕は徹夜でいくつかの企画書を書き上げ

お台場に意気揚々に向かった。

はじめての企画会議は、一人ずつ企画書をプレゼンしていくのだが、僕は

自信の企画を、編成のTVマン、ベテラン作家、Dの前で意気揚々と

しゃべり倒した。時間が経つとともに温度差を感じつつも...

プレゼンが終わると質問とうすら笑みを浮かべた脂ぎった大人の冷たい

視線を嫌でも感じた。

『ちょっと意味がわからないな、、、』

そう理解されない企画をわざと持って行ったからだ。それを狙いにいったからねと

完璧に大の大人を置き去りにしてやったと僕は

心の中で自分を肯定するのに必死だった。

もちろん企画は採用されなかった。

彼らに選ぶ権利がある時点で、彼らがおもしろい興味があると思わせなければ

ダメなのだ。まずは目の前の大人を納得させる事が第一。

自分の興味、自己顕示欲は全く意味をなさない。