天下茶屋日記⑥
僕の彼女Tさんがある日、仕事終わりに下着屋で働くD子さんと飲みに行くから一緒にと誘われる。
僕はTが東京で、友達ができた事にも嬉しかったし、飲みに行くという事もいいなと思って、即答で行くと返した。
D子さんと初めましてして、D子さんの話をきいていたら、Tと合いそうとすぐに感じた。
D子さんは、等々力に彼氏と同棲しており
下着屋で働く傍ら、自宅でネイリストとして活動している、ドラみちゃんにそっくりな女性だった。僕もドラみちゃんに興味が湧き、質問をたくさん投げかけた気がする。
D子さんは幼少期にチュニジアですごしたらしく、漢字が苦手で自分の名前をよく書き間違えると言っていた。そして彼氏とマクドナルドの宅配サービスをしてしまい肥る話、防腐剤入りの食事で身体が腐らない話を酔いながらした。
Tも僕も楽しくなってきてまた行こうと話しお開きした。
天下茶屋日記④
彼女は年下の気の強いが、打たれ弱く、わがままな優しい女の子であるが、
無鉄砲で向こう見ず、他人の意見をききいれない。意見されると逆効果な天邪鬼なきらいのある節がある。
僕は自分のことで精一杯、彼女のペースに合わせないようにつとめたが
先ほどのべたように、彼女は元来のかまってあげないと死んでしまう、いや回りを巻き込むタイプなので、僕は彼女のペースにまんまとはまってしまう。
それが、僕の優柔不断でほっとけない性分だからしょうがないが、まずは生活をしていかなくてはと思い、彼女に仕事を見つけてもらおうと考えた。
天下茶屋日記②
僕は構成作家になりたい気持ちがあったので、上司がある枠の企画会議に
参加してこいと言う命令がでて、僕は浮き足だっていた。東京に来て最初のチャンス
でもあり枠と言うのが編成いわく、新しい事を挑戦したいという若手にも門戸
が開かれた枠だったからだ。僕は徹夜でいくつかの企画書を書き上げ
お台場に意気揚々に向かった。
はじめての企画会議は、一人ずつ企画書をプレゼンしていくのだが、僕は
自信の企画を、編成のTVマン、ベテラン作家、Dの前で意気揚々と
しゃべり倒した。時間が経つとともに温度差を感じつつも...
プレゼンが終わると質問とうすら笑みを浮かべた脂ぎった大人の冷たい
視線を嫌でも感じた。
『ちょっと意味がわからないな、、、』
そう理解されない企画をわざと持って行ったからだ。それを狙いにいったからねと
完璧に大の大人を置き去りにしてやったと僕は
心の中で自分を肯定するのに必死だった。
もちろん企画は採用されなかった。
彼らに選ぶ権利がある時点で、彼らがおもしろい興味があると思わせなければ
ダメなのだ。まずは目の前の大人を納得させる事が第一。
自分の興味、自己顕示欲は全く意味をなさない。