天下茶屋日記⑨

僕は印刷会社の面接に北千住に向かった。

仕事に応募したものの北千住がどこにあるかも知らなかったので、奥沢から自由が丘まで大井町線ででて、東横線にのりかえ、中目黒までの行き、日比谷線に乗り換え、北千住まで1時間ぐらい乗っていった。電車に乗るのは苦じゃないが、少し遠いなと感じる距離だ。

東京の華やか所しか知らない僕は、北千住が、下町っぽい町で東京の違う側面も知った。

駅からも印刷会社までは15分ぐらいあり面接前に疲れてしまう。

印刷会社は創業も長く、大きな会社だったが、建物は古く、老舗の趣きがある会社だった。

事務所に挨拶し、面接がはじまった。

面接してくれた人は年は60ぐらいの、なんの役職の人が判断もつかず、おじいちゃんの風貌をした人だった。その時点で僕はここで働くと、こんな感じに年を重ねていくんだとすこしとまどった。

しかし、面接に来た手前
働きたい意欲を示し、おじいちゃんは「君は真面目そうだ」との理由でその場で採用するといった。

僕は押しによわく、「ありがとうございます、一生懸命頑張ります」とステレオタイプな答えを返し、働くことが決まってしまう。

帰りの電車もすごく長く感じながら帰路についた。